睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に呼吸が止まってしまう状態を繰り返す病気です。「SAS/サス(Sleep Apnea Syndrome)」とも呼ばれます。具体的には、10秒以上無呼吸の状態が一晩で30回以上、もしくは1時間あたり5回以上であれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
また、睡眠時無呼吸症候群は、その原因によって2種類に分けられます。1つは「閉塞性睡眠時無呼吸(OSAS)」といい、のどや気道が塞がって呼吸が止まってしまうものです。睡眠時無呼吸症候群の方の9割はOSASです。もう1つは「中枢性睡眠時無呼吸(CSAS)」といい、脳から「呼吸しろ」という命令が届かないというものです。
この病気についてよくいわれるのは「いびき」ですが、困るのはそれだけではありません。無呼吸のため酸素不足となり、日中の眠気やだるさ、集中力の低下などにつながってしまうのです。以下のような深刻な合併症や、突然死のリスクにもつながる可能性があります。
代表的な合併症
- 高血圧
- 睡眠中に繰り返される低酸素状態が交感神経を刺激し、血圧を上昇させます。
- 心臓病(心不全・不整脈・心筋梗塞など)
- とくに夜間の心臓発作リスクが高くなることが知られています。
- 脳血管障害(脳梗塞・脳出血)
- 睡眠中の酸素低下が脳血流に影響を与えます。
- 糖尿病
- 睡眠の質が低下すると、交感神経の活性化などにより血糖値や血圧が上昇し、脂肪が増加しやすくなります。
- メタボリックシンドローム
- 肥満、高血圧、脂質異常症などとの関連が指摘されています。
- うつ病・認知機能の低下
- 睡眠不足による精神機能への影響も無視できません。
- 交通事故・労働災害のリスク
- 日中の眠気による運転中の事故、作業中のミスやけがの原因にも。
こんな症状がありましたら、早めにご受診ください
睡眠中
- いびきをかく
- 一緒に寝ている相手にいびきを指摘される
- 呼吸が止まる、乱れる
- むせる
- 何度も目が覚める
起床時
- 口が乾いている
- 頭痛がする
- 熟睡した感じがなく、寝起きがすっきりしない
- 身体がだるい
日中
- 強い眠気がある
- 体がだるい
- 集中力がない
睡眠時無呼吸症候群の検査

ご自宅で行える「簡易型PSG(終夜睡眠ポリグラフ検査)」にて検査します。寝るときに機器を装着し、睡眠中の呼吸や心拍、酸素飽和度などを測定します。簡易型PSGは原則保険適用です。
睡眠時無呼吸症候群の診断
上記の簡易型PSGにより、1時間のうちに無呼吸となった回数である無呼吸指数AHI(Apnea Hypoapnea Index)がわかります。AHIが15未満で軽度、15~30未満で中等度、30以上で重度とみなします。中等度~重度の方は、「CPAP(シーパップ)」による治療を開始します。
CPAP(シーパップ)による治療

当院では、「CPAP(シーパップ)」を用いた治療を行っています。OSAS(気道が塞がれることによる無呼吸)に有効であるとして、もっとも普及している治療法です。CPAPは、睡眠中にマスクを装着し、常に気道に空気を送り続けて無呼吸を防ぎます。気道が塞がれなくなると、睡眠中の呼吸が安定し症状が改善されていきます。